研究課題

地層が形成されるメカニズムの研究を行っており,その中でも特に,堆積物重力流のダイナミクスと堆積作用に興味を持っている.野外調査・微細組織観察・水槽実験・数値計算などの手法を組み合わせ,堆積学(Sedimentology)と,地形ダイナミクス(Morphodynamics)という異なる研究分野を融合させることで,新しい地球観を見つけるのが目標である.

堆積物重力流とは?

堆積物重力流とは,水中に浮遊している堆積物が原因で生じる流れの総称である.重力流(密度流)とは,周囲の流体との密度差で駆動される流れのことを指す.重力流は塩分濃度や水温による密度差によっても生じるが,その密度差の原因が浮遊堆積物である場合は特に区別して,堆積物重力流と呼んでいる.水中土石流(subaqueous debris-flow)や,混濁流(turbidity current)は,堆積物重力流の1種である.

堆積物重力流とは,要するに,海底の"濁り水"の流れである.陸上では,地すべりなどで砂埃が舞い上がっても,すぐにそれらは地表面に沈降してしまう.それに対して水中(海中)では,水が与える浮力と水自身の粘性のため,砂や泥などの堆積物はすぐには沈降せず,水中に"濁り水"を生じさせる.堆積物が浮遊している"濁り水"は周囲の流体よりも密度が高いため,斜面下方向へと流れ始める.これが堆積物重力流である.流れ始めた"濁り水"は,内部に生じる渦が底面の堆積物を巻き上げたり,堆積物粒子同士が衝突したりすることで,内部の濁りを長時間にわたって保持するようになる.このため,時として堆積物重力流は数100kmにわたって海中を流れ続けると言われている.

堆積物重力流は,堆積学だけではなく,古環境解析や,地下資源の探索,さらには長い時間スケールでの地球物質循環を考える上でも重要な研究課題である.水深1000m以上の深海底を観察すると,なぜかそこには巨大な河川・扇状地地形(長さ数100km以上)がしばしば観察される.このような深海の地形は,海中地滑りなどでイベント的に発生する堆積物重力流によって作られたと考えられている.現世の海底に見られる巨大地形はやがて地層として地下に保存されることになる.地層は言うまでもなく過去を紐解くための書物であり,その中に保存される重力流堆積物は,海水準変動などかつての古環境変動を記録しているかもしれない.また,重力流堆積物は石油やガスハイドレートを貯留し,さらに,付加体として日本列島の基盤を形成する.

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堆積物重力流研究の抱える問題

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研究プロジェクト

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